「釈迦に説法」を各国語で

「釈迦に説法」は大辞泉に依れば「知り尽くしている人にそのことを説く愚かさのたとえ。釈迦に経(きょう)。」ということだが、類似の諺は世界の国々にもあまたある。

まだコレクション中だが、中間報告。

  • 英語:お婆ちゃんに卵の吸い方を教える。teaching a grandmother to suck eggs
  • 英語:天使に説法する。preaching to the choir
  • ギリシア語:歳をとった狐は罠にかからない。γέρων αλώπηξ ουχ αλίσκεται πάγη(ゲロン・アロピクス・ウー・カリスケテ・パギ)
  • ギリシア語:さあ、お爺ちゃん、あなたのブドウ園を見せてあげる。έλα παππού μου να σου δείξω τ’ αμπελοχώραφά σου(エラ・パップゥ・ムゥ・ナ・スゥ・ディクソ・タムペロコーラパ・スゥ)
  • スコティッシュ・ゲーリック:お婆ちゃんに粥の作り方を教えるな。na ionnsaich do sheanmhair lit’ a dhèanamh
  • スペイン語:自分の教師に授業をしようとするな。no intentes dar clases a tu maestro
  • タイ語:ワニに泳ぎを教える。สอนจระเข้ว่ายน้ำ(ソン・ジャラカイ・ワァイ・ナァム)
  • チェコ語:老猫に鼠の捕り方を教えるな。neuč starého kocoura myši chytat
  • ドイツ語:卵が雌鳥よりも賢いとうそぶく。Das Ei will klüger sein als die Henne.
  • フィンランド語:アヒルの子に泳ぎを教えるな。älä opeta ankanpoikaa uimaan
  • フィンランド語:親父に小便の仕方を教えるな。älä opeta isääsi kusemaan
  • フランス語:アヒルの子たちが親アヒルを牧場に導く。les oisons veulent mener les oies paître。
  • フランス語:老猿に顰めっ面の仕方を教える(のではあるまいし)。ce n’est pas à un vieux singe qu’on apprend à faire des grimaces
  • フランス語:魚に泳ぎを教える(必要はない)。Il ne faut pas apprendre aux poissons à nager.
  • ブルガリア語:胡瓜売りに胡瓜の売り方を説く。продавам краставици на краставичар(プロダヴァン・クラスタヴィツィ・ナ・クラスタヴィチャル)
  • ポーランド語:親に子の作り方を教えるな。nie ucz ojca dzieci robić
  • ポルトガル語:神父にミサを教える。ensinar a missa ao padre
  • ポルトガル語:司教にミサを教える。ensinar a missa ao vigário
  • ロシア語:カマスに泳ぎを教えるな、先から仕儀は御存じだ。не учи́ пла́вать щу́ку, щу́ка зна́ет свою́ нау́ку(ニェ・ウツィ・プラバチュ・シシュク・シシュカ・ズナィエト・スヴォユ・ナゥク)
  • ロシア語:卵が雌鳥に教えてはいけない。я́йца ку́рицу не у́чат(ヤィツァ・クリツ・ニェ・ウチャト)
  • 中国語(普通話):(魯)班の前で斧を操る。班門弄斧。(バンメンノンフゥ)

大きく分けると

ずばり坊さんに説教型:天使、神父、司教に説教する。

動物型:魚、カマス、ワニ、アヒルなどに泳ぎを教える。フランス語の「猿に顰めっ面を」というのが可笑しい。これがこのコレクションの出発点だった。

親父、下ネタ型:おやじに小便、子作りを教える。

お爺ちゃん型:お爺ちゃんに農地を見せる、と。ギリシア語の「歳をとった狐」の諺はむしろ「亀の甲より年の功」に近いようにも見えるが、付せられた英訳が「お婆ちゃんに卵の吸い方を教える」だったのだ。なおギリシア語版の読み仮名は現代ギリシア語の発音に寄せた。母音推移があってみんな i に成っちゃうのが現代ギリシャ流だそうで。

お婆ちゃん型:やはり英語の「お婆ちゃんに卵の吸い方を教える」が秀逸。「卵の吸い方」というのはイースターなどに使う「中身の無い卵の殻」の作り方のこと。

さらにブルガリア語の「胡瓜売りに胡瓜の売り方を」というのも可笑しい。「胡瓜売り」なんていう商売が成り立つのだろうか、八百屋じゃいけないのか。落語の演目みたいな話だ。いっそここは「瓜売りに瓜売り教え瓜売れず売り売り帰る瓜売りの声」などとでも訳すのがベターだったかな。

ドイツ語は苦手

ドイツ語の例では wollen を「うそぶく=〜と言ってきかない」ぐらいの意味にとったが、それでよかっただろうか。ゲルマニストの叱責を請う。下は参項にした近年の論。

Mein Freund will schneller laufen können als der Landesmeister.「私の彼は州チャンピオンよりも速く走れると言っている」板倉歌 (2011)「ドイツ語の話法の助動詞 wollen について ——wollen/wollte+完了不定詞——」日本大学文理学部人文科学研究所『研究紀要』82号, pp.17-30

班門弄斧

「班門弄斧」は大紀元文化網の故事點播の説明によれば「操斧于班、郢之門,斯強顔耳」——大工の始祖、魯班の面前で厚顔無恥にも斧を扱って見せるということだそう。「比喻在行家面前賣弄本領。含諷刺意。」とのことで「玄人の面前で拙技を披露するさまを当て擦って」と言ったほどのところでしょうか。

名匠である魯班の家の門の前で、大工仕事をする(班門弄斧:芙蓉峰の如是我聞より

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